六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「この世に戦を起こし、我等一族の存在を知らしめる。
そしてこの国……この星を原始に帰すのだ。
我等が産まれた、神代(かみよ)に」
「神代……
貴方が新しい神になって、この星を原始からやり直すというわけ?」
「簡単に言えばそうだ。
一度、この世の穢(けが)れを洗い流す」
「穢れ?」
「この世の文明人たちが、穢れそのもの。
彼等が生き続ければ、いずれこの星は破滅してしまう」
この星の破滅。
そんな不吉な事を言いながら、
すぐそこまで来ている自分の治世を思うのか。
滋は夢見るような目をしていた。
「文明人って……全員を殺すの?
そんなのおかしいよ」
「この星のために、我等が悪役になってやろうというのだ。
感謝してほしいものだな」
「……狂ってる……」
「狂っているのはそちらの方だ」
滋は、あたしをにらみつけた。