六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「お前達文明人は、この星を汚し、傷つけ、平気な顔をしている。
どれだけ科学技術を発達させても、自分達の利益にしか使おうとしない。
生きていればどうせ、文明人同士で争いを起こすのだろう?
殺人も戦争も、なくなったためしがないではないか」
それはそうかもしれない。
環境汚染はひどくなる一方だし、人同士の争いはなくならない。
だけど。
「だけど、それでも、皆精一杯生きてるんです!
貴方が勝手にして、良いわけがない!
そうですよね、瑛さん!」
名前を呼ぶと、滋が瑛さんの方に視線を動かした。
あたしは瑛さんにだけ、語りかける。
「伊奈に言いましたよね?
目を覚ませって。
皆、必死に生きてるんだって」
「…………覚えていない」
「瑛さん……」
「俺が言った事、やった事は全て、
任務遂行のためにした事だ」
冷たい声が響くと、後ろから笑いが起こった。