六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「哀れな方。
何も知らずに、瑛様を信じてらしたのね」
琴さんの喉から、コロコロと綺麗な音がした。
綺麗だけど、不快な……。
次第に、目頭が熱くなってくるのを感じた。
「瑛様はね、
時が満ちるまでに貴女を信用させるために、修行を積んできたのよ」
「…………」
「戦闘で役に立ち、音羽の者達に信用されるようにね。
それに加え、産まれつきの容姿の美しさがおありだもの。
……恋をしても、仕方がないわ」
「……はぁ!?」
耳を疑った。
この人、何を言い出すんだろう。
「貴女は瑛様を……」
「だっ、黙りなさいよ!!」
あたしがにらみつけると、琴さんは黙って笑った。
岡崎一族は、性格が悪いやつばっかりなの!?
「あんた達みたいな性悪一族に、
世界を変える力を与えてたまるもんですか!!」
忍達に囲まれているにも関わらず、
ぶちギレたあたしは、大声で怒鳴った。