六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「儀式って……
一体どうやってあたしの力を、人のものにするんですか?」
「……知らない方がいい」
「そんな……」
「……死ぬのが嫌なら、あがいてみればいい」
最後にそう言うと、瑛さんはそれ以上、何も言わず。
一度も振り返らず、廊下の向こうに消えていった。
「アキちゃん……
いつもの、アキちゃんなの?」
「にゃあ」
アキちゃんは、
「一人にしてごめんね」というように、必死であたしにすり寄った。
「アキちゃん……」
温かい、つるつると滑らかな身体を撫でると、涙が溢れた。
「にゃあ」
アキちゃんが、落ちた涙を舌ですくう。
その瞳を見て、ある事を思いついた。
「まさか……アキちゃん!」
「にゃあ!」
儀式は、明後日の夜。
死ぬのが嫌なら、あがいてみればいい。
あたしは、他人の夢に入ることができる……。