六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「無理だよ。
瑛さんは、お母さんの占のせいで、
お父さんを殺されて、お母さんが幽閉されてるんだよ。
そのせいで、自分も一族の忍として生きることを強制されて……。
きっと、あたしのこと恨んでるよ」
『それは誤解よ。
私は、岡崎一族の後継者についての夢なんか、
見たことはない』
「えっ!?」
お母さんは、冷静な顔で返してきた。
「ほ、ほんと!?」
『ええ。
誰かが私の名前を騙(かた)ったのね』
「そんな……!」
じゃあ瑛さんは、誤解をしてるっていうこと?
誰かが夢見姫の名を騙り、瑛さんの両親を陥れた……。
考え込むあたしの手を、お母さんが優しくにぎった。
『それでなくてもね、まりあ。
貴女は彼が好きなのよね?』
「…………」
『そうなんでしょう?
どうして素直になれないの?』