六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


「まりあ!」


握っていた瑛さんの手が、強く握り返してくれた。



そして。



血を吐きながら、彼は訴える。



「俺の、力も使え……っ!

全部、全部、使っていいから!!」


「くぁ、あ、あぁあっ!!」


「頼む!!使ってくれ!!」



握っていた手から、瑛さんの霊力が流れ込んでくる。



あたしはそれも、全部燃やした。



(六花の翼よ、現れろ……!!)



「ぐ、あぁぁあっ!!」



瑛さんの叫びが上がり、閉じていた目を開ける。



そこでは、降り積もった六花の欠片達が。



瑛さんの背に集まり、翼の形を作りはじめていた。



みし、みし、と瑛さんの背骨が軋む。



「瑛さん……!」


「いいから、続けろ……!!」



涙が止まらなくなってしまった。



あたしの力が、彼を侵食している。



途端に、それが恐ろしくなった。


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