六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
真実と提案
どこをどう飛べばいいかなんて、わからない。
大体、岡崎一族の村が日本のどの辺りにあるのかも、知らなかったのだから。
あたしはただ、
「皆の元へ帰りたい」
と、念じた。
目を開けるのが怖くて、瑛さんにしがみついていただけのあたしに。
風に乗っていたはずの翼が、はばたく音が聞こえた。
恐る恐る目を開ける。
すると真夏の夜空から地上へと、自分達が近づいているのがわかった。
地上のある一点、山の中の木々の間に、小さな屋根が見える。
瑛さんはそこへ降り立とうとしていた。
「あそこは……?」
「わからない。
が、翼がここで降りろと言う」
「あっ!あれ!」
あたしは思わず、そちらを指さした。
小さな屋根の下に、人影が見えたからだ。
それは、仲間達の影だった。
彼らもこちらを見上げ、指をさしている。