六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「これは……!」
留衣さんが瑛さんを見て、青ざめる。
「一体なんなの……?
何がどうなってるの?」
よく見れば、清良もオーリィも、
化け物を見るような目つきをしていた。
「もしかして、これが……
【六花の翼】……!?」
太一の呟きに、全員がハッとする。
地面に這いつくばった瑛さんが、体を起こそうとする。
しかし巨大な翼が、彼にのしかかった。
「がっ、ぐはっ……!」
瑛さんの傷から、口から、ボタボタと赤いものが流れ落ちる。
「瑛さん……!」
あたしは太一の腕を払い、ふらつく足で瑛さんに駆け寄った。
「姉ちゃん、それ……」
「ほんまに、瑛なんか?」
背後から太一とオーリィの声がした。
「当たり前じゃない!
瑛さん、今、翼を消すから。
ちょっと我慢して……」