六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】




長い話が終わって……。


しばらく誰も口を開けなかった。


ようやく沈黙を破ったのは、オーリィだ。


「……すると、何か……?

琴さんのおかんが、岡崎滋と共謀して、

全てを仕組んだって事かいな……?」


「……はい。

まりあさんを犯し、殺すという儀式を提案したのも母です。

それで、【夢見姫】というものに対する恨みを、

晴らそうとしたのかもしれません……」


オーリィはため息をつき、額を押さえた。


「琴さんの、お父さんは……?」


今度は太一が聞く。


「普通に、生きてます。

何も知らずに」


琴さんは気まずそうに答えた。


「な……によそれ。

ますます知った事じゃないわよ。

アンタのお母さんのせいで、まりあがどれだけ……っ」


「清良、もうやめて」


止められた清良は、怒りをどこへぶつけていいかわからないようで、

拳で壁を殴り付けた。


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