六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


「清良……ごめん、

あたしのために怒ってくれてるのはわかるけど……。

やっぱり、行くよ」


「まりあ……」


「姉ちゃん……」


「もう、いいよ。

誰が誰を恨んでるとか、誰が誰のせいでとか。

そんなの、言い出したらきりがない。

ただあたしは……瑛さんを助けたい。

もう一度、会いたい……」


あたしの声は、玄関に響いて消えていく。


それでも、伝えなくちゃ。


皆は、仲間だから。


「……好きなの。

瑛さんが……」


太一が苦しそうに眉をひそめた。


「大好きなの。

死んでほしくないの。

あの人は、本当の幸せを、まだ知らない。

じゅうぶんだなんて、そんなの嘘だよ」


自分のために、悲しんで、幸せを祈ってくれる人がいる。


それは確かに、かけがえのない事かもしれない。


でも。


でもね。



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