六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


また、沈黙。


一番最初に口を開いたのは、太一だった。


「姉ちゃんが行くなら、俺も行く」


「太一……」


「このままじゃ、後味悪すぎるよ。

ねぇ、清良さん」


話をふられた清良は、小さなため息をついた。


「もー……

アンタ達姉弟は、お人好しすぎるわよ」


「清良……」


「わかったわよ、行けばいいんでしょ」


半ば諦めた口調で、清良は言った。


「……じゃあ、皆で……

と言いたいところだけど、

今のままじゃ圧倒的に戦力が足りないな」


留衣さんが困った顔をした。


「戦力なら、ない事もないで」


全員が、顔を上げた。


一斉に声の主――オーリィを見る。


「僕が誰か、覚えてる?

お茶目なテロリストやで」


「オーリィ……」


「実は、仲間を近くに集めてあんねん。

まりあがさらわれた時点で、

夢見姫奪還には、ぎょーさん戦力がいると思ったから」


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