六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
オーリィはニヤッと笑った。
「オーリィ……
力を、貸してくれるの?」
「そりゃあ、他でもない、まりあの為やったらな」
皆が協力してくれる……。
瑛さん、あたし達は孤立なんかしてないよ。
胸に少しの希望が湧いた時だった。
オーリィから、低い声が響いた。
「せやけど、タダで、とはいかんな」
「オーリィ……」
「いくらだい」
留衣さんの直球の質問に、オーリィは苦笑した。
「金なんかいらんよ。
もう十分あるし」
「じゃあ……」
「僕らが欲しいんは、ただ一つ。
【夢見姫】の力や」
「お前……!
やっぱり、諦めてなかったのか!」
太一が抗議の声を上げる。
「当たり前やん。
お前には言ったやろ?
瑛とまりあは結ばれないて。
あれは、独自の調査で、岡崎一族がまりあはを狙ってることを知ってたからや。
こんな真実があるとは思わんかったけど」
「オーリィ……」
「ホンマは瑛が村に帰って結婚したら、
ゆっくり口説くつもりやってんけど。
まさか、突然さらわれるとは思わんかった」
予定が狂ったわ、とオーリィは笑った。