六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
最後の戦い


琴さんが、手を伸ばすと。


一気に全員の緊張感が、高まった。


琴さんが、ゆっくりと結界に触れる。


結界は相変わらず透明だが、

彼女が自らの霊力でそれを中和していくのが、わかった。


見えない蒸気のように、溶かされた結界が霊力の霧になる。


そうして穴の開いた結界の中から。


異様な空気が、あたし達を圧してくるのを感じた。


「なに、これ……」


清良が背筋を震わせる。


「呪術師達が、六花の翼を瑛様から切り離そうとしているせいでしょう。

多分、ありとあらゆる呪文や方法を使って……」


「それが、この異様に重たい空気の元凶なのね」


琴さんの説明に、清良は納得したようだった。


「早く、お入りください……」


琴さんに続き、あたし達はついに村に侵入を果たした。


早くしなければ。


六花の翼を失えば、瑛さんは本当に死んでしまう。


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