六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
あたし達は、瑛さんが捕らえられたという砦に向かって走った。
それは、あたしが天井に穴を開けたあの巨大な砦だ。
遠くから、そこを直そうとしている忍の姿がチラチラ見えた。
「どこから入るの?」
「砦に続く階段は、一つしかありません」
「強行突破しか、ないんか」
むぅ、とオーリィがうなった時だった。
「来るぞ!!」
太一が叫び、結界を作る。
それによって、突然あたし達に放たれた苦無がパラパラと落ちた。
いつの間にか、周りを忍達に取り囲まれていたのだ。
「さすが、足の早いやつらやなぁ!」
オーリィが右手に力を溜める。
あたし達は背中どうしを付けるようにして、敵をにらみつけた。
「結構、数いるよね……?」
清良が呟く。
「味方を呼ぶはずです。
もっと集まるでしょう……」
琴さんが答えた。