六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「……気を悪くしないで聞いてほしい。
安城夫妻は、元々お祓いやお清め専門だろう?
式神を使役したり、結界をはったりという事は、
あまりした事がないんじゃないかな?」
優しい目で見つめられた太一は、悔しそうに反論する。
「両親はそうですけど……。
俺は、式神も使えますし、結界も張れます。
自分で言うのもなんだけど、
両親よりよっぽど、姉ちゃんを守る力はあります」
太一……。
産まれた時から修行したって、言ってたっけ……。
「わかってるよ、太一君。
そして、清良さんも」
「…………」
清良は黙って、膝の上の手を握りしめている。
「君は西尾家の人だから、おそらく武術が得意なんだろう。
そして、霊力もほどほどに、ある」
霊力?
ぼけっとしているあたしに、岡崎さんが、
「結界はバリア、霊力は超能力だと思え」
と耳打ちした。