六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「うあぁあぁぁぁぁぁっ!!」
あたしは、炎の拳を受け止めた。
霊力の壁を手元までえぐった腕を、白刃取りのように――。
両腕が、ギシギシと軋む。
壊れてしまいそうなほどの痛みが、全身を駆け抜けた。
「姉ちゃん!!」
……壊れて、たまるか。
「まりあ……!!」
太一も、清良も、オーリィも、留衣さんも。
お父さん、お母さん、学校の皆も。
顔も知らない、この星の人たちも。
瑛さんも。
クセのある声も、綺麗な瞳も、意外にたくましい腕も。
壊れかけた、優しい心も。
全部。
全部。
あたしが、守るんだ!!
「く……っ!
離せ、小娘……っ!」
「……離さない……っ!!」
手と手の間に、莫大な霊力が収束し、
ブラックホールのように全てを飲み込もうとする渦になる。
滋は自ら、その身を引こうとした。