六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「孝……神代から続く星見の血を、我に」
「…………」
滋が、孝さんの手をとり、引き寄せる。
裂けた手でその背中を支え、もう一方の手が杖を持ち、天を突いた。
シャン、と飾りが音を立てる。
「やめろ……!!」
瑛さんの声に、滋はニヤリとした笑いで答えた。
そして――。
その杖を。
孝さんの胸に、突き立てた。
「――!!」
びく、びく、と孝さんの体が跳ね、その血が滋に返っていく。
滋の身体は、みるみるうちに赤く染まっていった。
「やめて……!!
その人を離して!!」
見ていられず、霊力の塊を滋に放つ。
しかし、もう既に遅く……。
攻撃を避けたのは、裂けた片腕。
孝さんは、床に転がされてしまった。
ずるり、とその身体から杖が抜けていく。
「あぁ……っ!」
なんて、なんてむごい事を……!