六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「ひどい……!
孝さんは、孝さんは、貴方の為に生きてきたのに……!
その為に、たくさんの嘘をついて、手を汚して……!」
「な……っ?」
瑛さんの瞳が、疑問に揺らめいた。
あたしはそれにまだ、気づかない……。
「何で殺すのよっ!
自分を愛してくれた人を、
何で簡単に殺すのよぉぉぉっ!!」
孝さんの白い顔は、もうぴくりとも動かない。
それを見て、ただ、怒りで、声が震えた。
滋は、くつくつと笑いながら答える。
「いいではないか……
こうすれば、我らは1つになれるのだから……」
「な……っ!?」
滋の片腕が光る。
その傷は、裂けたまま塞がっていった。
「……星見の力を、吸収したんだ……!
もうあいつは、人間じゃない……!」
瑛の言葉が終わらないうちに。
滋の全身が、光を帯び……。
「……あぁっ!!」