六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
眩しさから、やっと解放された時に見たのは――。
まぎれもない、化け物の姿だった。
滋の大きな身体は、ますます膨れ上がり。
赤黒く、変色していた。
頭には、尖った角が生え。
それにならうように、耳も歯も、鋭く尖っている。
瞳は紫色から、血の色に変わり、こちらを見下ろした。
裂けた腕は、そのまま長い爪になっている。
「力を……。
もっともっと、強大な力を……」
化け物……いや滋は、ぐるる、と喉を鳴らした。
「力を……。
夢見姫の力を……。
六花の翼の力を……」
「……どうして……」
周りの者が、一歩も動けない威圧感。
今までとは比べものにならない、身体を取り巻く霊力の渦……。
あたしの力なんかなくたって、簡単に世界を変えてしまいそうなのに。
何故まだそんなに、力を求めるの……?