六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
瑛さんの眉間にシワが寄る。
わけがわからないといった顔で、あたしを見つめた。
すると、顔まであった翼の根の痕が、薄らいでいく。
あたしは彼の顔を包んだまま、語りかけた。
「一緒に戦おう、瑛さん……」
「……まりあ……」
「約束して。
あたしを守るって。
貴方は、あたしが守るから……!」
ふわ、と翼が、柔らかな光の粒を放ちだす。
それは、とてもあたたかく。
あたし達にも、降り注ぐ。
「……あぁ、守る。
約束する……」
瑛さんの声が、穏やかに響いた。
「と言うか、最初の約束だったな。
お前のためだけに、俺の血は流される、と……」
まるで遠い思い出を懐かしむように、瑛さんは薄く微笑んだ。
「……瑛さん、お願い。
あたしはこの世界を維持したいの。
どれだけ汚れていようと。
破滅しか待っていなくても」