六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
恐ろしい叫び声と闇の力に、吹き飛ばされそうになる。
暴風に巻き込まれたように、
身動きも取れず、瞼も少ししか開かない。
自分の身体から、力も命も、全てが放出されていく。
きっと、前のあたしなら怖くて、泣いてた。
でも今は。
信じられる人がそばにいる。
この人を……大事な人達を守るために。
(お願い!!
六花の翼!!
あたしに、皆を守らせて!!
夢見姫の力なんか、いらない!!
全部、全部、あげるから……!!)
一心に祈ると、1つずつの翼が、同時にはためいた。
それは派手な羽音を立て、光の風を巻き起こす!!
「ぐ、あぁあぁあ、あぁあ!!」
翼の力が、あたし達の力を後押しする。
何かを守ろうとするものに、六花の翼は力を与える。
あたしはそれを、初めて知った。