六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】



「うぉぉぉぉぉぉ!!」



恐ろしい叫び声と闇の力に、吹き飛ばされそうになる。



暴風に巻き込まれたように、

身動きも取れず、瞼も少ししか開かない。



自分の身体から、力も命も、全てが放出されていく。



きっと、前のあたしなら怖くて、泣いてた。



でも今は。



信じられる人がそばにいる。



この人を……大事な人達を守るために。



(お願い!!


六花の翼!!


あたしに、皆を守らせて!!


夢見姫の力なんか、いらない!!


全部、全部、あげるから……!!)



一心に祈ると、1つずつの翼が、同時にはためいた。



それは派手な羽音を立て、光の風を巻き起こす!!



「ぐ、あぁあぁあ、あぁあ!!」



翼の力が、あたし達の力を後押しする。



何かを守ろうとするものに、六花の翼は力を与える。



あたしはそれを、初めて知った。



< 648 / 691 >

この作品をシェア

pagetop