六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「……りあ、……まりあ!」
名前を呼ぶ声が聞こえ。
ゆっくりと目を開ける。
背中には、もう何の違和感も感じない。
頭上には、光も闇も砦の天井もなく、紫色の星空が広がっていた。
「……まりあ」
目の前の人が、はぁ、と安堵のため息をついた。
膝をつき、あたしの身体を抱えているのは。
もちろん、あたしよりよっぽどボロボロな瑛さんだった。
「終わった……の……?」
「あぁ、終わったんだ、全部……。
静かだろう?」
「うん……
ふ、ふふ、瑛さん、ボロボロ……」
無意識に笑ってしまうと、瑛さんは口をへの字に曲げた。
「お前だって、ボロボロだろう。
どうするんだ、制服に穴を開けて」
「えっ、ひゃあっ!!」
つう、と穴があいた背中に指を這わされ、
ビクンと身体が跳ねてしまった。