六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「もぉやめてよ、セクハラ忍者!」
「なんだ、元気じゃないか」
「元気じゃないですよっ、めちゃめちゃ疲れて……」
ぐら、と視界が歪んだ。
立ち上がりかけてよろめいたあたしの身体を、瑛さんが支える。
「無理するな」
耳元で言われ、安心よりも恥ずかしさが増した。
しかし、離れようとするあたしを、
瑛さんは抱きしめたままで……。
「……まりあ」
「……なん、ですか……?」
「……ありがとう……」
そう呟くと、また腕にぎゅう、と力を込めた。