六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「……ぬわぁーに、イチャイチャしてんのよー!!」
「ぎゃあぁっ、清良!!」
「げっ!!」
突然の清良の登場に、瑛さんはあたしを突飛ばした。
ひ、ひどい……。
「ひでーよ姉ちゃん、
俺まで吹き飛ばすなんてさー」
なぜかボロボロの太一が、ふらふらと寄ってきた。
見渡せば、砦はどこにもない。
あるのは折れた木材の山で、
自分が座ってるのは、ちくちくした草むらの上だった。
「忍達が混乱してる間に、逃げるで!」
オーリィもひょっこり顔を出す。
確かに、遠くから混乱する忍達の声が聞こえてきた。
「琴さんは……?」
「無事やで。けど……。
お母さんの亡骸を見つけて、動かへんのや。
自分はここに残る、言うて」
「…………」
瑛さんは、遠くを見つめて眉をひそめた。
「……無理もない。
大丈夫だ。
琴は強い娘だから」