六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


瑛さんは足を引きずりながら立ち上がり、

あたしに手を差しのべた。


「……帰るぞ」

「……はい……」


あたしはその手をとり、立ち上がる。


「まりあ、とにかく瑛の怪我を治してやったら?」


清良が、瑛さんを指さす。


他の皆もボロボロだが、瑛さんは特にボロボロだ。


「あ、はい」


「いい。もう力を使うな」


「じゃあちょっとだけ……」


(傷よ、ふさがれ……)


苦無で穴を開けられた腕に念じる。


……が……。


「あれ?」


「……お前、まさか」


傷は一向にふさがらない。


(治れ、治れ……)


いくら念じても、瑛さんの怪我はそのままだった。


「……力を使いきったのか?」


「……まさか……でも確かに、

六花の翼に《全部あげる》って、念じたから……」


「力が無くなったぁ!?」


オーリィが大声を出した。





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