六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「そんなぁ~……
あかん、仲間にボコボコにされるわ……」
オーリィはガッカリして、ふらふらと歩きだした。
「なんだ、あいつ……」
「アンタがいないうちに、色々あったのよ。
さ、あたし達も帰ろう」
「そうそう。
説明もイチャイチャも、帰ってからにしたら~?」
清良と太一が調子をあわせ、漫才をしながらオーリィの後についていく。
「ちっ……おい、肩を貸せ」
「あっ、はい」
あたしの肩を借りて、瑛さんはひょこひょこと歩きだした。
「――あ」
「どうした?」
「夜が、明ける――」
仲間の肩越しに……。
目の前の山々の間から、太陽が顔をのぞかせた。
紫色の空が、みるみる明るくなっていく。
――長い長い、戦いが終わった。
あたしは、光の粒を反射する、ただただ綺麗な横顔を。
幸せな気持ちで、眺めていた。