六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
瑛さんは怪我が治ると。
自分も、霊力が無くなっている事に気付いた。
紫色の炎は、本物の幻になったのだ。
しかし、それほどショックを受けた風でもなく。
あたし達と宿題をしたり、時にはトランプをしたりして、
普通に過ごしていた。
……でも、あたしは知っていた。
時々、月を見上げて寂しそうにぼんやりとしている、彼の横顔を――。
そんな時はただ、あたしは彼の横にいた。
余計な事は口にしないように、気をつけて。
ただ横に座っていると、
瑛さんは時々甘えるように、あたしに寄りかかった。
そうして、気づけば夏休みもあと何日かになっていた。