六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「……わぁ!」
アホな事を考えていたら、とうとう雨が降りだしてしまった。
「ヤバい、ティアラが錆びちゃう……」
自分で膨らんだ裾を持ち上げ、
ずり、ずり、と後ろを引きずって歩き出した。
「もう!」
この式場の売りは、木造のチャペル。
高い階段があって、それが良く見えるように、
やたら長いトレーンのドレスを着せられていたのだ。
ぽつり、ぽつり。
涙を流すような雨雲の下で、あたしまで泣きそうになる。
あたしは、何をしてるのかな。
いつもいつも、
簡単にわかりあえないような、難解な人を好きになっては、
傷ついて、別れてを繰り返して。
人の幸せの役に立ちたくて選んだ仕事は、ただのお飾り人形。
バカみたい。
あたし、全然、
あの人に宣言した夢を、叶えてない……。