六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
曇り空の下でも輝く、銀色の髪。
白い肌に浮かぶ、紫色の瞳。
すらりと伸びた長い足は、あっという間に距離をつめた。
さぁ、と風が吹いて、
雨粒がベールにぱたぱたと叩きつけられる。
……まさか……。
でも。
こんな髪と目は、あの人以外あり得ない……。
ぼんやり見上げていたら、
彼はゆっくり、口を開いた。
「……なんだ、忘れたのか。
薄情なやつだな」
……その声は。
少し、低くなっていたけど。
クセのあるところは、変わっていなくて……。
どくん。
心臓が、跳ねた。