六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
あたしとしてもものすごく驚いているのだけど、
太一と清良のせいでタイミングを失ってしまった。
留衣さんだけは飄々とした表情を崩さない。
「彼なら大丈夫。プロだからね。
依頼主を裏切るという事は、岡崎一族にとって、死に値する」
「ええっ!?」
岡崎一族って、なんて厳しいの!?
岡崎さん……意外と苦労人なのかも。
「……そんな脅しをしなくても、
俺は夢見姫に手を出すような馬鹿な真似はしませんよ。
でも、どうするんです?
すぐに住めるような物件、あるんですか?」
留衣さんの発言に、岡崎さんは半ば諦めたような口調で返した。
「うーん、今調べてみるから待ってくれ」
そう言うと、留衣さんは部屋の隅からノートパソコンを取り出してきた。
慣れた手つきでそれを操作し、キーボードを軽やかに叩く。