六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「……ずっと、会いたかったよ……」
支離滅裂な彼の行動が、なんだかおかしくなってしまって。
自然に、笑って、そう言ってしまった。
瑛さんは、満足そうにうなずいて。
「俺も、ずっと会いたかった」
そう言って。
初めて会った日のように。
雨の中で、きつくきつく、あたしを抱きしめた。
多分、
この何年かで随分たくさんの事を成し遂げたのであろう、貴方の身体は、
少したくましくなっていた。
ねぇ。
あたし達、ちょっとは、大人になれたかな?
たくさん、たくさん、遠回りをして。
時には、綱渡りをして。
初めて、お互いの愛を、
まっすぐに差し出す事ができた、あの日から。
いくつの季節を、越えて来ただろう。