六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
冷たい空気が、あたし達を包んで。
雨が、雪になっていく。
はらり、はらりと。
落ちて、肩に染みていく。
「……もう、離さないでね……」
呟くと。
彼は、返事の代わりにキスをした。
もう、この六花を翼に変える事はできないけれど。
あたし達の背中には、今でも1つずつ羽根があるんだね。
だから、もう、離れないで。
六花は儚く、消えてしまうけれど。
その先にある、あたたかな季節も、道に迷う時も。
ずっと、ずっと。
両の翼を1つにして、生きていこう。
あの日産まれた六花の翼は、
きっと、ずっと、あたし達の背にあるのだから。
愛していくよ。
幸せに、なろうね。
ここから、もう一度はじめて、最期まで。
一緒に、幸せになろう。
【END】