六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


「あ、これなんてどうかな。

古いけど、4LDKの一戸建て。

もちろん今の学校に通えるところにある。

君達全員で住めば、まりあも安心だろう?」



留衣さんはにこにこ微笑みながら、
パソコンのディスプレイをこちらに向けた。


そこには感じの良い輸入住宅の画像がある。


築30年の中古物件だ。



「全員って、この4人ってことですか?」



清良が目を輝かせた。


確かに、女の子が憧れるドールハウスのような外観だけど。



「もちろんそうだよ。

それぞれのご両親には僕から話をしよう」


「いえ、全然オッケーです!楽しそう!」


「き、清良ぁ」



ちょっと待ってよ。何なの、その変わり身の早さ。


しかも、あたしの意思は無視ですか?



「確かに安心かもしれないけど、
敷金礼金とか家賃とか、生活費とかどうすんの?」



太一が意外と冷静に言う。



「あ…そっか」


< 69 / 691 >

この作品をシェア

pagetop