六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「あ、これなんてどうかな。
古いけど、4LDKの一戸建て。
もちろん今の学校に通えるところにある。
君達全員で住めば、まりあも安心だろう?」
留衣さんはにこにこ微笑みながら、
パソコンのディスプレイをこちらに向けた。
そこには感じの良い輸入住宅の画像がある。
築30年の中古物件だ。
「全員って、この4人ってことですか?」
清良が目を輝かせた。
確かに、女の子が憧れるドールハウスのような外観だけど。
「もちろんそうだよ。
それぞれのご両親には僕から話をしよう」
「いえ、全然オッケーです!楽しそう!」
「き、清良ぁ」
ちょっと待ってよ。何なの、その変わり身の早さ。
しかも、あたしの意思は無視ですか?
「確かに安心かもしれないけど、
敷金礼金とか家賃とか、生活費とかどうすんの?」
太一が意外と冷静に言う。
「あ…そっか」