六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
中央にある仏壇の前に、あたしは招かれた。
「ここには、歴代夢見姫の魂が眠っているんだ」
「ここに、お母さんも……」
静かにうなずいた留衣さんは、懐から一枚の写真を取り出した。
「この人が、僕と君の母親だよ」
そう言って差し出された写真を、受け取る。
そこには、若い女の人の姿があった。
あたしと同じ、黒髪の女の人……。
「これ、いつの……」
「亡くなる少し前のだよ」
「ウソ!若すぎます!」
二十歳で留衣さんを産んだとして、
8年後に産まれたあたしがもう17歳なわけだから……。
もう50歳近いと思ってたのに。
写真の母親は、どう見ても30代だ。
「これも、夢見姫の力……」
「うん、わかってきたかな?
君もこの血を引いてるんだよ」
そろそろわかってきたかな?
僕達が、どれだけ特殊なのかを。
そう言われた気がした。