六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
ともかく、あたしは仏壇に向かって手を合わせた。
来たよ、お母さん。はじめまして。
あなたの、娘です……。
それ以上は、何と話しかけて良いかわからなかった。
目を開けて、仏壇を見上げる。
「お母さん、今まで守ってくれて、ありがとう……」
最後にそれしか、浮かばなかった。
「お母さんは……
何が原因で、亡くなったんでしょうか……?」
背の高い留衣さんを見上げると、彼は眉を下げた。
「……心臓発作だよ。
前日まで元気だったのに……。
人の運命なんて、わからないものだね。
この国の未来を占ってきた一族の僕が言うのもおかしいけど」
留衣さんは、寂しそうに笑った。
「あの……他に兄弟は……」
「いないよ。君だけだ」
「そうしたら、お父さんは……
本当のお父さんは、どうしてるんですか?」
あたしの質問に、留衣さんは笑った。