六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
「不幸そうな顔だ、と言ってるんだ。
仏壇に行ってから途端に顔色が沈んだ。
会った事もない母親が死んでいたのが、それほど衝撃的だったか」
……何でそう、憎まれ口になるんだろう。
「元気が無いよ、大丈夫?」って、言えばいいのに。
いいや、こんな人に、余計な気使うのよそう。
どう思われたっていいや。
あたしはやけくそ気味に話しだした。
「そりゃ、一応実の母ですし……。
代々の夢見姫の人生を思うと、切なくて……」
「夢見姫の人生だと?」
「だって、ほとんど閉じ籠りきりで、結婚もできないし。
彼氏を作ることすら、許されないなんて……」
「あぁ、その辺りを聞いてきたのか」
岡崎さんは、見た事がないような微妙な表情になった。
「……可哀想です。
何も知らないで、ただ占いと子育てだけして、死んでいったなんて……」
何故かあたしは、泣きそうになった。