六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


クセのある声が、緊張感を孕む。


太一は黙って頷くと、
お札を取り出して、急いで車両の四隅に貼った。


そして、指を不思議な形に組み、
口の中でブツブツと呪文を唱える。



「……わぁ……!」



空気が、変わっていく。


耳鳴りがして、思わず頭を抑えた。



「ほう、まずまずだな」



耳鳴りがおさまって手を離すと、岡崎さんのそんな声が聞こえた。


気づけば乗客は、あたし達だけになっていた。



「どんなもんだい!」



太一が胸を張った。



「何よ、まさかこんなところに敵が来るって言うの?」



清良の言葉に、緊張感が一気に高まる。



「気配を感じないのか、へっぽこ侍」


「へ、へっぽこはやめなさいよ!」


「油断するな。来るぞ」



く、来るって……本当にまさかだよ!


だってここ、新幹線の中だよ!?


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