六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】


太一の張った結界の空気が、ぐにゃりと曲がる。


一人、また一人と、結局4人の男が現れた。



「げっ、普通に入られた!」



結界を簡単に破られた太一は、ショックを受けたようだ。



「敵の術者の方が、力が上だということだ。

せっせと修行に励め、へっぽこ陰陽師!」



言葉の最後で、敵の男達が一斉にあたし達に襲いかかってきた。


車両の狭い通路を歩かずに飛んでくる様は、やはり人間じゃない。



「これ、前の……」


「式神だな。

生身の人間じゃないから、思いっきりいためつけてやれ!」



岡崎さんがそう言って、あたしを背後に回らせる。



「うりゃー!」



あたし達の目前に迫った敵に、太一が腕を突き出すと、
バリバリと青い光を放つバリアが現れた。


バリアに当たった男はふっ飛び、車両の窓に背中をぶつけた。


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