六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
見ると、男達の手が、刃物のように灰色に光っている。
岡崎さんはそれぞれを片手の苦無一本で受け止めていた。
「お前達の主の名は?」
男達はもちろん答えない。
岡崎さんは自分に加わる二人分の力を、一度弾き飛ばした。
しかし相手はすぐに、体勢を立て直す。
そんな彼らに容赦なく、岡崎さんは苦無を投げつけた。
風を切るような音がして、そのほとんどは一人の胸に突き刺さる!
「……お前に聞いてやろう」
倒れた一人を無視し、足に苦無が突き刺さったまま呻いているもう一人に、岡崎さんが歩み寄った。
「言え。
主は、誰だ」
「…………」
「……そう簡単には言わないか。
仕方ない」
岡崎さんはもう一本苦無を取り出し、男の胸に突き刺した。
辺りに、人間のモノとはかけ離れた悲鳴が響く。
圧倒されているうちに、彼等を突然現れた紫色の炎が包む!