六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
二人の間に邪悪な空気が立ち込める。
「……前にも会ったな。
お前は、誰だ」
『……やはり貴方は、岡崎一族の方でしたね。
しかもかなりの使い手だ。
驚きましたよ』
「質問に答えろ」
不自然なほど丁寧な物言いをした彼に、
岡崎さんが厳しく問いつめる。
『音羽さんに前に接触した団体の、関係者です』
そう言えば、留衣さんが言ってた。ある政治団体が接触してきたと。
「姫はどこにも属さず、誰にも与さない」
『わかっています。
そのうち、またお話にうかがいますよ。
今回は、あなた達側近の力がどれほどのものか、試してみたかったのです。
それによって私共の準備も変わりますから』
「!」
あっという間に、辺りに霧が立ち込め始めた。
『ではさようなら、夢見姫』