六花の翼〈リッカ ノ ツバサ〉【完】
こうしてあたし達は、留衣さんの好意に素直に甘える事にした。
必要な家具や家電は、全てそろっている。
あとは自宅から持ってきたこまごまとしたものを、自分の部屋に運び込むだけで良かった。
「姉ちゃん、清良さん、腹減ったよおー」
荷物を運ぶのに一番働いた太一が、
階段の下からあたし達に話しかけた。
「そういえば、もうお昼だね。
食料の買出しがてら、皆でスーパーにでも行く?」
「そうね、米や野菜はあるけど、たんぱく質がないもんね。
あと、お菓子」
清良の西尾家は、仮の姿として、農業を営んでいるらしい。
清良のお父さんに、お米や野菜をたくさんいただいてしまった。
「よし、じゃあ出発!」
「くれぐれも用心しろよ」
「……え?」
はりきるあたしと清良の背中に、冷たい声が浴びせられた。