遊びじゃない

「何か面白いことあった?」

私を抱き寄せるでもなく、足を絡ませるでもなく不自然に空いている隙間に、やっぱりコレってセフレじゃないかと思い至る。

愛を囁かれるでもなくただ翻弄されるだけの行為は、一方に気持ちがある場合はとてつもなく残酷で。

やけっぱちになってバレンタインデーの話題を持ち出す。

だって、私が当日会いたがっていると思って、本音をこぼすかもしれないでしょ?これはっきりしたほうが深い傷を負わなくてすむ。

「麻生さんなら、バレンタインデーが休日でも関係なくたくさん貰うんでしょう
ね?」

意思通りに動かない四肢はそのままで、顔だけ隣に向けて、少しの表情の変化も見逃すまいとじっと見つめる。

灰皿に煙草を押し付けながら微笑んで、「そんなことないよ」と笑う。

「それに、この土曜日はゴルフ接待で遠出だしね。」

おまけに、明らかに牽制される。

「大変ですね。」

動揺を悟られないようににっこり笑いながらも、早く帰って彼のシルシが付けられていない汗まみれの体を洗い流したかった。

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