遊びじゃない


同期会の時によく使う居酒屋で、会社帰りのおじさん達の大声で賑やかなカウンターに並んで座る。

よく考えてみれば、中野と二人で飲んだりするのって全くの初めてで、もっぱら聞き役のこいつが時々挟んでくる相槌がテキトウじゃないことが妙に嬉しくて、この空気感悪くないな、なんて思ってチューハイのお代わりもすすむ。

「まおちゃん、もうこれでストップだよ。明日もまだ火曜日なんだから。」

隣でまだ心配顔の男は、2杯目の生ビールのジョッキを持ったままオフモードに入って名前を呼んでくる。

「うっさい、ゆう。私はまだ酔ってません。」


くしくも麻生さんの名前と同じに呼ばれるこいつの呼び名。

誰が言いだしっぺだったか、同期のみんなで研修の時に決まったあだ名は、会社では相応しくないため使われず、飲みの席でしか呼ばれない。


< 92 / 266 >

この作品をシェア

pagetop