遊びじゃない
最初は本性を現してなかった美織なんて、「みー」とか「みーちゃん」なんて可愛く呼ばれてるんだよ…。
私のが考えられる頃にはもうめんどくさくなったのか、なんのへんてつもない呼び捨てで。
雄大も最初の一字を呼ばれるだけの簡素なもの。
最近じゃ小学生のほうが奇抜なあだ名を考えるってのに、みんな相当酔っ払っていたに違いない。
「酔ってる人が言う常套句じゃないの、それ。」
呆れたように笑って、私の手からほとんど空になったライムチューハイが奪われる。
確か…5杯目くらいに突入していることは、ふわふわした空気感の頭でも分かっている。
ほら、私はチューハイ5杯くらいまでならある程度の正気は保てるはずなのよ。
べらぼうに強くもないけれど、下戸ってほど弱くもないはずなのに、なんで麻生さんと一緒の時にはあんなに酔っちゃったんだろ…。
そう思ったところで、考えないように飲みに来ていたはずの人を思い出してしまったことに少し気分が落ち込む。