遊びじゃない

それから、送ると言ってきかないゆうを、まだ早い時間だからと宥めて先に電車を降りる。

定時に終了後ものの2時間ほどでいい感じになってしまったから、まだまだ人通りは多い。
別に暗い道を通るでもなく、駅から遠くもない我が家に歩いて帰るのは、酔い醒ましに丁度いい。

頬のほてりが薄れると共に徐々に思考を蘇らせていて…

もしかしたら、異動を知っていて私とそういうことになったのかも知れない麻生さんは、もう私には連絡してこないんだろうな、と
少し惨めな気持ちになる。


どれだけ長く付き合っていても、数週間の付き合いしかなくても、男と女なんてその先どうなるか神のみぞ知るだけど。
化粧が厚くなって、少しのことでメソメソ泣く事もなくなって、いつの間にか、この人を逃せばもう最後かもしれないなんてしがみ付くような恋愛しかできなくなっていく。

いくつになっても恋愛はできる、とは言うけれどアラサー世代には俄かに信じがたくて、いっそのこと誰かがこれが最後ですよって教えてくれたらいいのにと思ったりもして。


惨めになりたくない、周りのみんなから遅れをとりたくない、捨てられたくない…そうやってがんじがらめになっていくのは私だけなのかな…。


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