王様と庶民
今私がそんな事を言ったせいか、みんなオドオドとしている。
ふっ…精々悩むがいい。
悩んで、悩んで、悩むがいい。
「じゃっ、殺すね」
どんどん刃先が私の心臓の辺りまで近づいてくる。
その度に、クラスメイト達は息を呑む。足を竦ませる。涙ぐむ奴も居る。
何だよ?
泣きたいのはこっちだよ。
今まで私がした経験よりはマシでしょ。
お母さん、ごめんなさい。
勇気のない…タダの弱虫でごめんなさい。私は今から、お母さんより先にお父さんに逢いに行きます。
“朱美!”