CALL ME,CALL ME


静かに私の名前を囁いた。


頭の中が真っ白。
降参だ。悔しくて涙が滲む。ほら、好きにすれば。身体の力も抜けきって、もう立てない。

次の瞬間、ぎゅっと抱き竦められて、ふわりと身体が宙に浮いた。


「わ!な、何して…!お姫様抱っことか、恥ずかしすぎて死ぬ!」

「他に誰もいないし、駐車場まで我慢して。…だって先輩、腰立たないでしょ」


誰の所為だと思っているんだ。
睨みあげれば、彼は小さく微笑んだ。



「意地悪してごめんね」



心臓が震えた。

謝って済まそうなんてムシが良すぎる。
無言のまま、彼の肩を叩いて胸元に顔を埋めた。


こんな酷いことをした罰。
今夜は、沢山私の名前を呼ぶのよ。その、憎たらしい声が枯れるまで。


(じゃなきゃ、許してなんてあげないわ)




Fin


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