届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

噂では聞いていたけど、実際に会った事がなくて。

名前が…。

ナースステーションのイスに座って。

一人、ボーっと天井見ながら。

のど元まで思い出しかけている名前を。

脳をフル回転させて思い出そうとしている。

お兄ちゃんがいなくなると同時に、看護師達が一斉にナースステーションから出ていちゃったから。

隣の看護師控室から、勝手にお菓子を持ち出して。

まだ思い出せない名前を。

お菓子をパクつきながら。

必死に思い出そうとしている。

ほんの数分だった。

「ダメだよ。ここは、関係者以外入っちゃ。」

背後から優しく注意する男の声。

あたしに注意するなんて。

ずいぶんと勇敢じゃん。

って、ことは…患者?

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