届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

驚いて振り返ると、怒った顔のお兄ちゃんが腕を組んで立っている。

「ごめんなさい。友達の家で、宿題していて寝ちゃった。」

初めて、お兄ちゃんに嘘をついた。

怒られたくないからじゃなくて。

これ以上、お兄ちゃんに心配かけたくない。

「そうか…。」

お兄ちゃんの顔は納得してない。

そうだよね?

今までどんな理由でも、朝帰りなんてしたことないんだもん。

「お兄ちゃんも早くない?」

あたしの胸の中の保身が、これ以上何も聞かれないように。

お兄ちゃんに話を向けた。

「ちょっとね…。」

そう言いながらそらした視線。

…まさか、お兄ちゃんは絢音と?

自分のことなんか一瞬で吹き飛んで。

不安でズキズキと痛む心が、急激に切なく胸を締め付ける。

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