届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
13 約束
霧生くんが冬槻先生と一歩踏み出せた事が嬉しくて。
ハイテンションで帰ってくると、珍しくお兄ちゃんがあたしの部屋にきていた。
「どこに行っていた?」
「うん。友達の家。」
ウソではない。
あたしにとっては、霧生くんは友達だもん。
男の人って言うのが、少し後ろめたいけど。
例えやましいことはなくても、霧生くんと会っていましたなんて言えない。
「宿題してたのか?」
「恋の救世主してきた。」
これはウソじゃないから。
ちょっとだけ心が安心する。
満面の笑顔で、ベッドに座るお兄ちゃんの隣に座ってもたれかかった。
「なんだ?恋の救世主って?」
不思議そうな顔をしながら、あたしの顔をのぞき込んだ。
「友達が好きで別れた人とやり直したいけど、どうしていいか困ってて…。」
「それで相談のってたのか。」
「うん。」
「そうか。でも危ないから遅くなるなよ。」
「大丈夫。」
やっぱり、お兄ちゃんは優しくて。
どこか安心をくれる。
久しぶりのお兄ちゃんの匂い。
思いっきり抱きついて甘えてみた。
「そうだ!!紗羽に渡したいものがあるんだ。」
そう言って、ポケットから携帯電話を取り出した。